2021年12月14日
【結netだよりVol.6】感染管理認定看護師の紹介~小林市立病院 田中久雄さん~
秋から冬にかけてインフルエンザを始めとする感染症には特に気をつけなければならない季節になりました。今回は小林市立病院の感染管理認定看護師の田中久雄さんにお話しを伺いました。
■感染管理認定看護師の資格を取られたきっかけは何ですか?
院内の感染委員会に5年間所属したことがあり感染対策に関する資格が取れたらいいなと思っていました。2012年に認定看護師の教育課程の募集がありスキルアップのためにと上司から勧められたことや病棟からの資格取得に対するバックアップもあり、東京の日本赤十字看護大学認定看護師教育課程フロンティアセンター感染管理コースを修了し、2013年に資格を取りました。5年後の2018年に1回目の更新があり、2023年に2回目の更新予定です。
■感染管理認定看護師の活動内容について教えて下さい。
感染対策チーム(3職種以上)で週に1回の院内の感染ラウンドを行っています。ラウンド後に感染対策が出来ている所、出来ていない所を写真に撮ってみんなが見える場所にアップしています。なかなか他の部署の悪い所を指摘するのは難しいですが、出来ていない所はしっかりとやっていく必要があると思います。
その他に、月に1回の感染委員会、感染対策チーム会議を行っています。当院は感染対策加算2を取っているので加算1の施設(現在は都城市郡医師会病院)と一緒に実施しています。
また、院内のマニュアルの作成、整備を行っています。新しい感染症が発生したり随時不足する内容があれば作成するようにしています。感染対策の教育に活用するためのビデオ等も作成し、分かりやすい資料作成づくりに心がけています。
■最初の新型コロナウイルス患者さんの受け入れでのご苦労があれば聞かせて下さい
すでに2015年、MERS(中東呼吸器症候群)が流行時した際に、救急隊、保健所、病院が一緒になってコロナウイルスに対する市中感染、院内感染を視野に入れた訓練を実施していました。そのため実際にコロナの患者さんの受け入れでもさほど困った所はなかったように思います。病院新築の段階で感染症の病床が4床あります。陰圧と陽圧の切り替えが可能です。
一番苦労したのは実際にコロナの患者さんを長期間看るとなると、ゾーニングが必要になってきます。検体採取の方法や病室の管理方法、医療廃棄物の扱いなど具体的には患者さんの食事をどうやって運ぶかなど細かい動線を確認しました。シュミレーションはある程度活用できましたが、先行で患者さんを受け入れた施設に見学に行って、管理方法や動線、スタッフの動きなどを実際に確認し参考にしました。
■患者さんを受け入れるスタッフの不安はどのようなものでしたか。
スタッフにとってはそれぞれが家庭にコロナを持ち帰るのではないかが一番不安だったようです。私は県からの要請で各クラスター発生の施設に行かせてもらったこともありどのような動線がいいのか、こうなったら感染が増えてしまう、ここが破綻すると感染が拡大することが身に染みてわかっていたのでスタッフには「一つ一つのポイントを注意しながらやって行きましょう」と指導していきました。私自身は受け入れ準備に時間がかかってストレスもありましたが、準備の段階で県立看護大学の認定看護師の先輩の指導やMICN(宮崎県感染管理ネットワーク)もありましたので助かりました。
■医療・介護従事者へのメッセ―ジ
高齢者施設等で感染対策やゾーニングの方法等に対して不安があったらいつでも依頼いただければ私も時間を作って対応するのは可能です。感染が起こってからではなくて起こる前に助言に行きたいと強く願っております。
また、今年、県立看護大学と感染管理認定看護師約40名の代表からなるワーキンググループが高齢者施設にマニュアル本を配布していますので是非参考にして欲しいと思います。エプロンの着脱ひとつにしてもみんなが同じやり方で行うのが大切だと思います。第6波に備えて今まで通りマスクの装着、手洗い、消毒、清掃などをきちんとやっていただいて日々の健康管理にも気をつけて欲しいです。
■今後の取組や目標などについて聞かせて下さい。
来年からもう一人感染管理認定看護師が増える予定ですので、同僚と一緒に感染対策の強化という面でも出前講座などを通して地域でのネットワークが構築できればと思っています。
《忙しい業務の中でインタビューに応じていただいてありがとうございました。また、院内や、感染病棟の案内もして下さいました。院内にはガウンテクニック手順や感染マニュアルが掲示されていて誰でも同じ方法で行えるようになっています。また、感染病棟ではゾーニングがされていて感染廃棄物等もしっかりと管理がされています。また陰圧の病室にはトイレや洗面所も整備されておりプライバシーが保てる環境です。 (日髙:取材日 令和3年11月30日)》